1.公団ボルトとは
一部の団地やマンションのエアコン設置場所に設置されているボルトを公団ボルトと言います。
特に団地では設置されているケースが多いです。「公団ボルトが設置されていないとエアコンを取り付けできないの?」と思われる方もいるかもしれませんが、決してそんなこともないので安心してください。
2.公団ボルトのメリット、デメリット
2.1 メリット
壁に傷が付かない
ここで言う「傷」とは「ビス穴、アンカー跡」のことです。
エアコンを壁に設置するためには背板といわれる鉄板を壁にビスやアンカーを使用して取り付けるの通常パターンです。そのようにして取り付けたエアコンは取り外すと当然のことながら壁にビス穴やアンカーが残ることになります。
しかし、公団ボルトが設置してある場合にはビスやアンカーの代わりにボルトを使用するので何度エアコンを取り替えたとしても壁に傷がつくことがないので基本的に壁紙の交換の必要ないと言うメリットがあります。
そのため住む人が変わる賃貸物件、その中でもUR(都市機構)では公団ボルトが設置されているケースが多いです。
なお、公団ボルトの状態によっては仕方なくビスを使用することがあります。
重量のあるエアコンでも取り付けできる
最近のエアコンは省エネ機能や自動掃除機能などの多機能が搭載され重量が増しています。重い物になるとセパレート型のルームエアコンの室内機だけで20kgを超えるものもあります。
重量のあるエアコンは強固に壁に取り付けなければ最悪の場合、落下や壁の崩壊につながるため、ビスやボードアンカーだけで施工する際には強度的に慎重にならなければいけません。しかし、公団ボルトはアンカー(コンクリ)かインサートのどちらかなので強度的にビス、ボードアンカーより強く、ある程度の重量のあるエアコンでも耐えられるメリットがあります。
2.2 デメリット
エアコン取り付け位置が決まってしまう
「公団ボルトがある」=「そこにエアコンを取り付けて」と言っているようなものです。公団ボルトが設置されている場所以外にエアコンを取り付けたい場合には必然的に壁にビス穴があくことがあるので賃貸住居の場合には管理会社への確認と承認が必要です。
さらに取り付け位置が決まっていることは取り付け作業においても不都合が生じることがよくあります。「2本の公団ボルトのピッチ(間隔)がおかしい」「公団ボルトと配管貫通穴の位置が合わない」などの問題が起こることがあります。
エアコン下部が壁から浮くことがある
通常ビスやボードアンカー使用時はエアコンの背板は全体(上下左右)を強固に壁に固定しますが、公団ボルト使用の場合は、背板の上部左右を留めているだけなのでエアコンの配管の状態や施工の仕方によってエアコンの下部が壁から少し浮いてしまうことがあります。これは作業ミスではないことを理解しておいてください。
なお、下部が浮いたところで作動上は問題ありません。
3.公団ボルトを使用した場合のエアコン取り付け工事費について
基本的には公団ボルトを使用した取り付け工事になるからと言って特別な追加費用がかかることはありません。しかし、公団ボルトの交換や切断作業が発生した場合には追加の費用がかかることもあります。
公団ボルトが問題なく使用できるかの判断を一般のお客様が行うことは難しいことですし、作業する職人さんも現場で寸法を測ったりする必要があるので、この追加費用については現場での判断となります。
念のために、エアコンを取り付ける部屋に公団ボルトがある場合には事前に設置業者に伝えておくと良いでしょう。
4.まとめ
- 公団ボルトは団地や賃貸マンションに多い。
- 壁にビス穴があかないなどのメリットがあるが、取り付け作業においてデメリットとなることもある。
- 公団ボルトを使ったエアコン取り付け工事費に特別追加費用がかかることはほぼない。
- 公団ボルトがあるときは一応設置業者に伝えておくと良い。